日曜日早朝に急遽撤収することになったのだけど、土曜日のキャンプはそれはそれで非常に良かった。キャンプ場にいる間はしばし憂鬱な気分を忘れ、今ここにいる自分というのものとしっかりと向き合うことが出来た。
もう先週の木曜日、金曜日あたりにはヘロヘロで「今週末はキャンプだ」と自分を励ましながら乗り越えたので、キャンプ場で設営が完了した時の感動もひとしお。
何をするわけでもない、ただ自分のエリアを設営し、焚き火をしながらぼけーっとしていた。たまにスマホをチェックはするものの、わざわざキャンプにきてSNSをチェックするのも馬鹿らしいので、はしゃいでる様子を呟く時以外はスマホを見ないようにしていた。
寒波の襲来と共に山に来てしまったので、流石に寒かったのだけど、寒いときの焚き火はこれもまた格別。
寒くて、不便で、娯楽もないけれど、ただぼけっと落ち葉を眺めたり、焚き火を眺めたりしてぼけーっとする。自然の音に耳を澄ませて、忘れていた呼吸を思い出して、意識的に胸いっぱいに森の空気を吸い込む。
昼食をビールと共に平らげた後は、珈琲タイム。
自然の中で飲む珈琲はまた格別。むしろ、この時間のためにやってきたと言っても過言ではない。ただ、焚き火を眺めながら珈琲をすする。心配事は山ほど在るけれど、この瞬間だけは何もかもを忘れて、ただ焚き火と珈琲のぬくもりに感謝する。
焚き火と珈琲、そしてポメラ。ぼけーっと自然を感じながら焚き火を見ていたら、なんだか無性に頭を動かしたくなった。別に何を書くわけでもない、心の赴くままに指を踊らせた。
焚き火とビールを楽しみながらの読書も良い。暗くなっても読めるのが電子書籍のメリット。何時から何時に何しようとかそういうんじゃなくて、火を眺めたいときに眺めて、本を読みたいときに読んで、書きたくなったらポメラを開いて。そんな感じでふわふわっと時間を過ごした。
ちなみに今回は、調子に乗って食べ物を買いすぎてしまったので、次回はもっと少量にしようと心に誓った。特に良い肉はそんなにいっぱいいらない。
確か23時ごろまで焚き火を楽しんで、HEVEN TENTの中で買ったばかりの冬用寝袋に入って割とすぐに寝落ち。何度か目が覚めたけど、まぁ凍えるほど寒いというわけではなかったので、Amazonで買った安物の寝袋もまぁまぁ良い仕事をしてくれたように思う。
早朝電話を受けて、急遽帰宅することになってしまったけど、それでも昼の13時から夜23時までの間に特に何をするでもなく、頭の中を空っぽにして今ここにいることを実感できる時間が持てたのは良かった。
あの瞬間、森の中で火を眺めながら、確かに僕の胸の奥に居座っている不安の塊がなりを潜め、慢性的な頭痛が消え去り、寒さに凍え焚き火に温められ、生きていることをしっかりと実感できた様に思う。
その後色々あって、残念ながら体調はキャンプ前より悪化してしまっているのだけど、たとえ一時でも不安から解放されたと実感できたことは非常に大きかったというか、意義があったと感じている。
焚き火や自然は一種の舞台装置のようなものであって、他にもきっと今ここに集中して、不安から解放されて、幸せだなと感じる方法はいくらでもあると思う。そして、それは多分、ほんの些細なことなのだと思う。
随分生きるのが下手になってしまった。いつしか希望を忘れてしまった。自分でもなんと脆弱な心かと思う。でも、そんなんだから、一時不安が忘れられたことがとても嬉しかった。なんだそういう心の状態になれるじゃないかと。
今からまた、少しずつやり直していこう。何遍だってやり直していこう。下手くそになった生き方を、不安のない心穏やかな日々に帰れるように。残りの人生をかけて焦らず少しずつその方法を探していこうと思う。