何度か書いたことなのだけど、自分がうつ病になって休職を余儀なくされた時に、妻が私にかけてくれた言葉が「あなたはもう十分に頑張った」だった。
「なんて自分は弱くて、駄目なヤツなんだ」「もっと頑張らないといけないのに、何をやっているんだ」と、ただ自分を責めることしかできなかった自分にとって、この言葉はどれほどの救いだったか。
僕らはとても気軽に「頑張れ!」と人を励ましてしまう。でも、人によっては頑張れば頑張るほど壊れていく状況にある人もいる。頑張っても頑張ってもどうしようもない状況にある人に「頑張れ!」ということはとても危険だと、今ならよく分かる。
簡単に一般化はできないけど、メンタルの調子を崩してしまう人は限界を超えて頑張ってしまっていることが多い。それはメンタルが強いとか弱いとかという話ではない。人それぞれの得意不得意、ストレスを感じるポイントの違い、責任感の強さ、認知の差異等が複雑に絡んでいる。
ただ、一つ言えることは、もう限界を超えて頑張ってしまっている人に「頑張れ」ということは励ましではなく、一種の呪いになってしまうということだ。
僕はラッキーだった。「もっと頑張らないと」という思いに駆られ、冷静に自分の状態が把握できなくなっていた時に、タオルを投げ込んでくれ「あなたはもう十分に頑張った」と言ってくれる人がいたおかげで、立ち止まり頑張るのをやめることができた。
「頑張れ!」と励ますことが悪いわけではないし、むしろ多くの場合励ましの言葉として機能するだろう。適切な励ましは、素晴らしい言祝ぎであることは間違いない。
だから、時々「頑張れ!」と言うべきでない状態の人がいるということだけ心にとどめて置いていただければと思う。
或いは、今あなたが「もっと頑張らないと」と自分を責め立てて辛くなっているのなら、僕は「あなたは十分に頑張った」という言葉を贈りたい。時には立ち止まり、頑張る事をやめても良いことを、あなたに伝えたい。